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第4回 〜「社会性」と仕事
栃木県 まみうだ工芸 大豆生田洋さん

日常の生活の中で、普段漠然と見ている物事について、「なぜ?」という疑問を持って掘り下げていったり、当たり前、と思っていることを違う角度から観察したりすると、 意外とその本質が見えてきたり、勉強になることが多い。

子供のような素朴な疑問や、一見ばかばかしいと思われるようなことを真面目に考えることで、結構役に立つ発想に繋がることがある。
看板や広告の仕事というのは、不特定多数の人の目に触れるものを手がける仕事でもあり、様々な業種業界の宣伝広告を受け持つ仕事でもあるから、広い視野で柔軟な発想を持ち、いろいろなことに興味を持つということが大切、などと、もっともらしいことを言うのだが、若輩な私が果たせていない希望的な発言ということにしていただきたい。

「社会人」という言葉がある。
小学生のころ、社会という科目の名称と、「社会人」という言葉をオーバーラップさせ、社会人とは一体、何者なのか?という素朴な疑問を持ったことがあった。それから時間の経過とともに、特に考えるわけでもなく、なんとなく意味を理解するようになったのだろうがあらためて「社会人」とは何だろうか考えてみたい。

就職して職業を持つと社会人、と定義されているような気がするが、私はもっと広い意味で「社会性」を身につけた人のことを社会人、と呼びたいと思う。
「社会性」の意味は、辞書的には「社会に共通したことや、それを考えようとする傾向」となっているけれども、ここでは社会を構成している一人の人間として、快適な社会生活が送れる能力、資質、という意味で、「社会性」と位置付けしたいと思う。

私は、他人に喜んでもらえることが自分にとっても喜びに感じることができれば、ここでの「社会性」の基本は身についている、と考えたい。
その基本の上に、仕事や家庭などの様々な生活環境において、人に、社会に貢献できるのが「社会人」ではないか、というのが今現在の私の社会人感である。

世の中の「仕事」といわれるもののほとんどは、「人」を相手に何らかの業務を代行したり、物を提供したりするサービスである。
仕事を考えるときにその根本にあるものは「人」であり、その「人」に対するサービス精神から様々な技術や、デザイン、アイデアなどは生まれてくるはずだ。

商売というのは売れるためにはどうしたらいいのか、を考えるのが基本であるが、これも言いかえれば、いかにして多くの人に喜んでもらえるか考える、ということに繋がっていくとても社会的な活動である。そしてお互いにサービスを提供し合うことで助け合い、成り立っているのが社会であるといえるだろう。

そう考えていくと、ここでの「社会性」というものが仕事という人の活動の根幹の部分を担っているものだということに気づくのである。
そしてその「社会性」というのは、人として一番大切な「人間愛」とも言いかえられるに違いない、と思うと、仕事という活動の大切さを、あらためて感じることができるのだ。

〇まめ http://homepage1.nifty.com/mamiuda