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ITで変わる未来〜4、真のIT革命の登場〜


4、真のIT革命の登場

ITを中心に、現在、未来、社会情勢を見てきました。では、これからはじまるであろうIT革命が、どのようなものになるのかを予測してみましょう。但し、これは予測と言いましても、現時点ではほぼ100%実現される未来なのです。

真のIT革命はPtoPとユビキタスネットワークで実現すると言われています。
真のIT社会が実現すれば(近い将来実現します)、あらゆる産業構造、ライフスタイル、価値観が劇的に変化します。このIT革命に全く対応しなければ、淘汰は避けて通れません。それほどのインパクトをもっています。


4−1、P to P

PtoPとは個人と個人、ということです。サーバ集積型と分散型があって・・・。などという難しい定義や意味はあるのですが、その辺はあまり重要ではありません。
簡単に言うと、あらゆるデジタルデータが、個人と個人でやり取りができる技術、または概念、と考えてください。

PtoP(ピァーツーピァ)という言葉を一躍世界中の人に知らしめたのは“ナップスター”というファイル交換のソフトです。MP3という音声圧縮ファイルを、世界中のネットユーザーで交換しましょう、というのがそもそもの始まりです。

インターネット上には違法・合法も含めてたくさんの音楽ファイルが存在します。
仮に、宇多田ヒカルのファーストアルバムのファイルを私が持っていたとします。そして、セカンドアルバムも聞いてみたくなった、と。その際に、今までは、CDを実際に買いに行くか、友達に借りるか、ということをしていたわけですね。
PtoPとは、これをネットで解決しましょう、ということです。セカンドアルバムの音楽ファイルを持っている人は、世界中で探せばたくさんいます。その人たちにもらっちゃおう。そのかわり、自分の宇多田ヒカルのデータもみんなにあげちゃおう、というのがPtoPです。

アメリカの大学生が、同じ学校に通う友達とのファイル交換に使うつもりだったこのサービス。1年もしないうちに何千万人というユーザーを獲得してしまいました。

理由は沢山あるのですが
1、無料である事
2、大量の音楽ファイルがある事
3、いつでもダウンロードできること
などが主だった理由です。

「それがどうした?」と言われると確かにそうなんですが、何がすごいのかと言いますと、ナップスターを使用している人にとっては、CDというメディアが必要なくなったことを意味します。もちろん、音楽ファイルは単なるデータでしかありませんから、実際に聞いてみて、気に入れば保存する、ということもできます。もちろん全て無料ですし、デジタルデータですから加工も簡単。おまけにどんなCDショップよりも在庫は豊富です。なにせ、世界中の人がアップロードしているわけですから。

著作権等、ナップスターには問題も沢山あり、現在は有料化していますが、PtoPという概念は人類に強烈なインパクトを与えてしまいました。

いずれ問題も解決されていく事でしょう。

そしてもちろん、現在は音楽ファイルなどが主流ですが、これはいずれ沢山のデータ交換に使われることになります。それは、そう遠くない未来と予想されています。

では、「沢山のデータ方式が、PtoPに対応し、成熟した」とします。

看板屋さんで考えてみましょう。デザインデータの場合。自分で苦労して作る必要がないかもしれません。誰かが同じようなものを作っているかもしれないからです。例えば、牛のデザインが欲しければ、検索エンジンに「牛、イラレのデータ」と入れれば沢山でてきます。あとはダウンロードしてちょちょいと自分が必要なように加工しておしまいです。

業務が大幅に効率化できてしまいます。

そしてもちろんこれは、ライバルが増える、ということでもあります。デザイン力がほとんどなくても、デザインができてしまう。また“オリジナリティ”というものを出すのも非常に難しくなってしまいます。世界中のイラストレーターが作った「牛」のデータと勝負するわけですから。

出力も施工も、看板ナビを使えば探せますから、もしかしたら、「自社では何もしない」看板屋さんも登場するかもしれませんね。

いずれにしましても、自社でもっているデータや技術が無力化したり、PtoPを使いこなして強力に効率化したり・・・と、明暗が分かれてしまうかもしれない恐ろしい概念です。

PtoPに関して、企業が最も気をつけなければいけないことは、“パワーシフト”です。企業からの一方通行の情報をはるかに超える情報が流通する為、製品、サービス等あらゆるものが個人間で情報をやり取りできます。企業>個人から企業<個人へ。結果、「良いものがわかる。故に良いものしか買わない」という意識になります。

そして実は、PtoP単体で考えてもそれほどのインパクトはありません。次に述べるユビキタスネットーク社会とセットで考える必要があります。


4−2、ユビキタスネットワーク社会

なにやら言いにくい言葉ですね。概念としては20年も前にでた言葉です。ただし、そのときは「ユビキタスコンピューティング」という言葉でした。“ユビキタス”とは「いたるところにある、あまねく存在する」という意味です。つまり、ユビキタスコンピューティングとは「いたるところにコンピュータが存在し、使用できる」という意味です。

現在は、「ユビキタス・ネットワーク」という言い方をします。あらゆるモノが、いたるところで“ネットワーク化”されている、ということです。

先に、インターネットは「情報を簡単に、大量に、素早く得られるということ」と述べました。ユビキタスネットワーク社会とは、これらに「いつでも、どこでも、誰でも」が追加されます。逆に言いますと、現在のインターネットは「いつでも、どこでも、誰でも」という能力を持っていないことになります。


4−2−1 ユビキタスネットワーク社会ってどんな社会?

まず最初に、ユビキタスネットワーク社会とはどんな社会なのかを見てみましょう。

1、パソコン以外にも、沢山の端末がインターネットで結ばれている。
2、常に、どこにいても情報を取得・発信ができる
3、大量に取得・発信ができる

簡単に言うと、これだけです。

それぞれ見てみましょう。

1、パソコン以外にも、沢山の端末がインターネットで結ばれている。
“パソコン以外”とは何を指しているかといいますと、携帯電話やPDAはもちろん、家電、通信系の機器だけでなく一般的な商品や飲み薬などあらゆる“モノ”ということです。もちろん、看板もネットワークに組み込まれることもあるでしょう。

2、常に、どこにいても情報を取得・発信できる
家の中はもちろん、会社、車、街中など、とにかくあらゆるところにブロードバンド環境が存在する世の中になります。そして、それを特に意識することなく使うことになります。
企業にとってはブロードバンドで“受信”することよりも“発信”することの方が重要ですね。後述します。

3、大量に取得・発信ができる。
現在のようなナローバンド環境ではありませんから、大量の送受信が可能です。“大量”とは、わかりやすく言うと映像や音声と思って下さい。


4−2−2

事例と今後の展開

では実際に、ユビキタスネットワーク時代にはどんなことが起きるのでしょうか?

● 放送〜2000年末にBSデジタル放送開始
2010年までに地上波放送も全てデジタル化
しかし、圧倒的な利便性を備えた超高速ネットワーク上でもテレビ放送が開始。
融合される。視聴者からみて放送と通信(ネット放送)の区別は徐々になくなる。

6Mbpsの回線速度ででS-VHS程度のクオリティの映像、音声を送受信可能。ハイビジョンクラスの映像だと20〜30Mbpsの通信速度で可能(光ファイバーは100Mbps) 。

ドラマに出演している女優の服をクリックすると、同じ服を販売している店舗に直接 双方向ビデオ映像でつながり、直接購入するなどということが可能に。

=放送を広告媒体からショーウィンドウ(店頭)へ進化させることもできる。

逆に店舗では、商品棚に備え付けたブルートゥース機器などを介して、近くにいる消費者の携帯電話やPDAにデジタル映像を発信する事で、目の前にある商品についての説明を消費者一人一人に合った形で行う事ができる。

=放送とは逆に、店舗が広告媒体に変化する

高速インターネットの普及を背景に韓国ではすでにテレビ番組のインターネット放送が開始されている。韓国MBCでは、過去に放送したほとんどのテレビ番組をウェブ画面上のカレンダー形式で表示し、好きな時に好きな番組をオンデマンド型の放送サービスを提供し始めている。

● ネットワークを流れる情報も変化する。
従来の取引きデータや顧客データのような記号化されたデータは全体の1%以下に低下し、音声や映像を中心としたマルチメディアデータが全体の99%以上を占めると予想される。
企業の情報システムにおいても、映像や音声を効果的に取り扱うことが求められる。

映像による情報伝達、映像による現場からのライブ中継などが一般化する。
インターネット電話、ビデオメールも一般化。=感性の流通。

携帯電話のデジタルカメラなどを使って映像によるライブ中継が可能になれば、店舗の現状や工事の進展状況、事故現場などの現場のリアルな情報を次々と社内の映像サーバに蓄え、それを必要とする社員がいつでもどこでも視聴できるような環境を整えることも可能になる。

● 携帯電話の変化

1、JAVAによる携帯電話のパソコン化
2、UIM(携帯電話に差し込んで使うICカード)導入による電子認証・決済機能
3、ブルートゥースなどのローカルな通信機能

これで、いつでもとこでもパソコン、つまりいつでもどこでもインターネット。
例えば看板見て、クーポンをもらって、そこからダイレクトに決済、など。

2003年中にIMT−2000規格(次世代携帯)の携帯電話の人口カバー率は80%を超える。
携帯で1〜2Mbps程度の送受信が可能に。


一人一台から、一人何十台へ。

既にエリクソンが街頭据え置き型のブルートゥースデバイスを開発、店頭における携帯への広告や、駅における時刻表の配信、近隣店舗でのクーポン券の発行などを提案している。

人と人とのコミュニケーションの方法が大きく変わるだけでなく、人とモノまでがネットワークされてしまう。

多くの機器は家庭内LAN化される。面倒な配線や設定無しに外出先からエアコンの作動からテレビの録画、風呂のお湯焚き・・・・色々できる。さらに例えば家庭内にカメラを取り付けてセキュリティ会社とつなげば警備や介護もできる。

携帯が財布になる、リモコンになる

モバイルオフィスの実現、社内リソースを外部で使える
ビデオメールの一般化

● ナローバンドは電子メールがキラーコンテンツだったように、テキストが情報伝達の主流だったため、自分の考えを「文字」に置き換えねばならない。(手間)ユビキタス時代では映像や音声など、表情豊かなコミュニケーションができ、「感性」の部分まで伝える事ができる。

自動車保険の査定者=いちいち事故の状況をテキスト化することなく、単に映像を送ればすむ。医療=遠隔医療が可能。

距離、スペースや時間、さらには「言語」の制約からからの解放を可能とする。極端に言えば家にいながらにして1000人の会議を開く事もできる。

● ありとあらゆるものがネットワーク可能=IPv6、RFID(無線自動識別)タグ(ICチップ)

製品や部品をネットワークの一部とすることができる。いつでもそのセンサーを介して人やモノの監視や位置追跡が可能となる。

● 買い物の支払金額の計算が商品選択時に逐次行われ、さらに出口付近のゲートを通過すると自動的に決済が行われる。流通在庫の削減、鮮度管理、SCMなど。

● コンセプト立案者と設計者、設計者と生産技術者の間で、製品に関わる情報をやり取りする上で感性に近い領域の情報の欠落が防げるために、当初の目的に沿った製品が出来上がる。

● 全てのものにIDを付与し、ネットワーク化することが可能

セルフサービスの実現:買い物

● これまでは形式化した領域の部分(例えば製造やコンピュータ処理など)以外の知的労働の分野のアウトソーシングが地球規模で可能になる。

● 暗黙知の流通。今までためてきたノウハウの価値が低下。

● 異業種のコラボレーションの加速=自社は専門分野に特化、強い分野で戦うことを余儀なくされる。

● 良いものしか買わない。

と、すでの実践されているもの、ほぼ確実に実践される現象を見てみました。


4−2−3 準備

ネットワーク社会の到来が言われて、まだ日も浅いですね。商用インターネットの出現からたかだか5年です。真のユビキタスネットワーク社会の到来にはまだまだ時間がありますので、無闇矢鱈と色々なことに慌てて手をつける必要はありません。ただし、何もやらなくてもいというわけではありません。それは、従業員1万人の会社も、1人の会社もかわりません。現時点でやらなければならないこと、中長期的にやらなければならないことを想定し、順序だてて実行に移す必要があります。
これらは、多分に試行錯誤を積み重ねなければならないことです。試行錯誤を行いノウハウや経験の蓄積を行うことがまさに現在の課題であり、2005年までの課題です。この助走期間を上手に活用する事が、ユビキタスネットワーク社会の覇者、適応者です。

 

目次:
1、インターネットとは結局何なのか?
2、今後のインターネットを考える
3、ITを使わないと淘汰される? その背景とは?
4、真のIT革命の登場
5、サイン業者にとってのITと経営
6、まとめ